「Zentis Osaka(ゼンティス大阪)」は、大阪市内にあるホテルです。
過日、管理人である私が実際に宿泊してきました。洗練された客室、館内設備、朝食を中心に宿泊レポートをお伝えします。
ゼンティス大阪の概要
「ゼンティス大阪」は、大阪市の堂島浜の地に、2020年7月15日に開業したホテルです。パレスホテルが運営する、新たなブランドの宿泊主体型のホテルです。
「Encounters of a New Kind 感性が、深呼吸する場所」をコンセプトに、上質なホテル体験を提供してくれます。
住所 | 〒530-0004 大阪府大阪市北区堂島浜1-4-26 |
電話 | 06-4796-0111 |
チェックイン時間 | 15:00~ (最終チェックイン:24:00) |
チェックアウト時間 | 12:00 |
客室数 | 212室 |
ホテルは入り口から既にゼンティス大阪の個性が表れています。どこかのブティックに来たかのような雰囲気に包まれています。
エレベーター側にある象徴的な階段を昇ると、2階のレストラン、トレーニングルームなどに行けます。
エレベーターは3基あります。エレベーターのスイッチがブックシェルフに溶け込む形で設置されており、ホテルの雰囲気にしっかりと馴染んでいます。
立地やアクセス
大阪の繁華街の1つである北新地と、オフィスビルが立ち並ぶ堂島に囲まれた場所にホテルはあります。付近は飲食店が多数立ち並び、少し歩けば地下街の「ドージマ地下センター」と食事や買い物に便利な立地です。
少し注意が必要な事として、オフィス街周辺の飲食店は日曜がお休みの店舗があります。お店のホームページやグーグルマップなどで事前確認をおすすめします。
フェスティバルホールや大阪中之島美術館が近くにあり、催事に行くための拠点としても最適です。
客室の種類
客室は全室がバスとトイレに分かれているセパレートタイプです。部屋のタイプは3タイプと非常に分かりやすい構成です。
客室の種類 | 広さ |
---|---|
Studio | 25㎡ |
Corner Studio | 32㎡ |
Suite | 57㎡ |
全212室のうち、Studioが169室、Cornerが41室、Suiteが2室です。
- Studio
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本ホテルの主力客室。広さは25平方メートル、定員2人の本ホテル主力客室。出来る限り仕切りを取り払うことで数字以上の大きさを感じられる作りです。
- Corner Studio
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各フロアの角に位置するCorner Studioの特徴は、小窓の付いたバスルームとバスタブが配置されている点です。またStudioより広い間取りとなっており、それを活かして窓際にはソファが設置されています。定員は3人で、家族や友人同士での利用に適しています。
- Suite
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二方向に窓を配し、大阪の街並みに包まれながら、オリジナルデザインの家具と日本人アーティストによる作品を楽しめる客室です。
ゼンティス大阪の魅力
ここからは、ゼンティス大阪の魅力や見どころをお伝えします。
宿泊者専用のゲストラウンジ
ロビーの奥には、宿泊者だけがいつでも使えるゲストラウンジがあります。
外にはガーデンテラスがあり、ビルと緑に囲まれて静かに時間を過ごす事が出来ます。
セルフサービスとして、コーヒーマシンで作るコーヒーや紅茶がいただけます。その他、有料ではありますが、大阪のクラフトビールやスナックを購入してラウンジで食べる事もできます。
室内と外のガーデンテラスを挟んで暖炉があり、冬になると火が灯されるそうです。秋に泊まった際には、残念ながら確認できず。
24時間いつでもラウンジは開かれているので、誰もいない空間を独占する機会に恵まれる事があります。
最高の身支度が整えられる「Room 001」
宿泊者は、「最高の身支度を整える場所」をテーマにした多目的ルーム「Room 001」が24時間利用可能です。
身だしなみは先ずは洗濯からということで、ランドリーマシンが3対配備されています。ここの洗濯洗剤はこだわりがあり、ゼンティス大阪オリジナルのものが使われています。
素材に応じた細かな温度調節可能なアイロンは、高圧蒸気により美しく衣類を仕上げてくれます。
プロの靴磨き師による有料のシューシャインサービスがあります。前日までの予約が必要です。
室内の奥には、自由に使えるネスプレッソコーヒーマシンがあります。
本当に、コーヒーには不自由しない、コーヒー好きに嬉しいホテルでした。
電子レンジや自動販売機があって、ちょっとした惣菜を買ってきて食事をする際に助かります。
洗濯している間に、書庫にある書籍を読んで過ごす事も出来ます。大阪に纏わる本が並び、ホテルのこだわりの一端が窺えます。
客室「Studio」の紹介
それでは、客室紹介に移ります。
今回は、当ホテルの主たる客室である「Studio」に宿泊しました。部屋に続く客室通路は、程々の明るさを保ち穏やかな様子です。
ドアを開けると、最近のホテルの作りらしい開放感のある部屋が広がります。
目線の高さには家具をあまり配さない形で設計されています。人の背ほどある収納は無く、ウェットエリアとの区切りを上手く使って、衣類掛けや荷物置きとしています。
姿見はレールに吊るすことで、重量感をさほど感じさせません。この空間の活用方法は、モクシー大阪に通じるものがありました。
圧迫感を与えない室内設備の配置は「しっかりと考えられているな」と感心しました。
設備や備品はナチュラルカラーで統一され安定感があります。それはハンガーやラゲッジラックにも同様です。
気になったのは部屋に入って早々に目に入る、シャワールームを隔てるガラス板です。下半分はスモーク加工がされていて、上は透明のガラスそのもの。入り口付近であり、プライバシー面を考えて、ここは全面加工処理すべきだったと感じます。
アイランドキッチン風のキャビネットに様々な備品が収納されています。ティーアメニティはこちらにあります。客室紹介後のアメニティーの項でお伝えします。
引き出しの上段にはパジャマが収まっていました。上下セパレートタイプのパジャマは綿100%、着てみるとほんのりと温かく感じられる着心地の良いものでした。
その下の引き出しにはランドリーサービスの注文書とバッグ、さらに下段にスリッパ、ブラシ、へら等がありました。
スリッパはビジネスホテルよりもふんわりモコモコとランクが上のもの。不織布の包装に”Zentis”と印字され、ブランド確立に力を入れていることが分かります。
ブラウン製の電気ケトル、ドメスティック製の冷蔵庫、フランフランの加湿器もここに収まっています。
ここで不満点を1つ。シースルー窓を備えたこの冷蔵庫、見た目の良さや動作音が殆どしない点から導入されているのでしょうが、相変わらず冷えが弱すぎです。1階のラウンジで購入したビールが全然冷えませんでした。
冷えていない分、これはこれで甘みが強く感じられて、大手のビールでは味わえない風味でした。
アンモニア吸収式冷蔵庫でまともに冷えていたのは今のところ、オークラ京都岡崎別邸の時だけです。冷蔵庫は、音はするけどコンプレッサー式が一番です。
テレビはLG製の4Kテレビです。テレビにAppleTV4kが接続されており、youtubeやご自身が契約している動画配信サービスを気軽に楽しめます。館内情報の確認もテレビ画面で確認出来ます。
テーブルセット含む室内の家具はどれもホテルオリジナルで、使い易くデザインされています。
ミニソファ付近には充電用USBジャック、電源コンセントが配備されています。
ミニソファと一体化している背後の収納には、セキュリティボックスが中にありました。
この収納周辺には、エアコンの操作パネルと充電用USBジャック、電源コンセント、そして有線LANジャックが用意されています。
電子機器を複数利用する時代に対応できるよう、充電用USBジャックが各所にあり便利です。
収納下にはゴミ箱がありました。なお、ミニソファ下の引き出しは空でした。
今回のお部屋は4階の東向きでして、周りの建物から街並みを望むことは叶わず。一方で、建物に囲まれ、喧騒からやや離れた場所で非常に静かでした。
空は秋晴れ。木々のさざめきを眺めながら穏やかな時が過ごせました。
ベッドはシーリー製。キングサイズでのびのびゆったりと使えます。
ベッド側の壁には、日本のアーティストによる作品が描かれています。ナチュラルカラーのベッドスローと共にいいアクセントになっています。
ベッドサイドテーブルは信楽焼で、和のテイストが部屋の雰囲気と非常に合っています。その上の円盤状のランプの組み合わせで、より柔和な印象を与えてくれます。
もう片方のベッドサイドテーブルには、テレビリモコン、AppleTVのリモコン、置時計や筆記用具が置かれていました。リモコン類は感染症対策として、ビニール袋で包まれていました。
ビニール袋での感染症対策は、清掃面から考えても非常に合理的です。※状況に応じて、変更される可能性があります。
次にウェットエリアを見ていきます。
ベッドエリアからはシャワーブースが丸見えになっていますが、そこにはしっかりと工夫がなされています。
天井部分に電動のスクリーンが設置されており、ボタン一つで目隠しが出来ます。ただし、少し透けて見えてはしまいますが。
洗面所とトイレは同じ空間にあります。
すりガラスと天井部分のガラスから採光していることもあって、そこまで圧迫感は感じません。
タオルはハンド・フェイス・バスタオルの3種あります。いずれも今治タオルで柔らかく吸水性はしっかりとありました。
ドライヤーとタオル類は洗面所の下に配置されていました。ドライヤーはパナソニック製のナノイードライヤー「EH-NA26」でした。発売当時の実勢価格は1万円ほどのものです。
トイレはTOTOのウォシュレットです。フタの自動開閉機能はありませんが、多機能タイプでした。
トイレには扉がしっかりとあります。
シャワーブースにはレインシャワーとハンドシャワーの2つがあります。水流の勢いはしっかりとありました。
しかし問題がいくつかあって、ガラス扉と床との隙間が殆ど無いため、バスマットをガラス扉付近に敷くと、扉を開けると同時に引き摺ってしまいました。また、扉を閉めていても水が扉の下を通って外側を濡らすことがありました。
結果として、扉の可動域外にバスマットを敷かなければならず、床に水が滴り落ちることに。段差を排した部屋作りが仇となった格好です。
惜しい。
また、排気が弱いため曇り易い点はいただけません。新しいホテルは換気を重視しているところが多いので、換気性能の低さは意外でした。
客室は統一感があり、自然の素材の温かさがしっかりと感じられるものでした。最近の宿泊客が求める要望に柔軟に対応している設えです。一方で、先ほどのシャワールームの件や隣室の配管の音などちょっとした作りの甘さが残念に思えます。
アメニティ
入り口付近にあったキャビネットには、ティーカップやカップの他、次のアイテムが入っていました。
ティーアメニティは次の通り。
- ドリップコーヒー(デカフェもあります)
- 緑茶
コーヒーマシンはSuiteの客室にのみあります。
バスアメニティは「HUNTER」です。オーストラリアのスキンケアブランド「Hunter Lab」による、オーストラリア原産の植物など天然素材を詰め込んだシャンプー、コンディショナー、ボディソープが用意されています。
日本では馴染みのない独特の甘い香りです。これは好き嫌いが分かれるかもしれません。
その他のアメニティは、洗面所に一式用意されています。
洗面所に用意されたアメニティは次の通りです。
- 歯ブラシセット
- 髭剃り
- シャワーキャップ
- コットンパッド
- 綿棒
- ボディタオル
- サニタリーバッグ
化粧水はありません。自前の準備が必要です。
ゼンティス大阪の朝食
ゼンティス大阪の朝食は、ホテル2階にあるレストラン「UPSTAIRZ」でいただけます。現在は、宿泊者限定で提供されます。
朝食は「和食」と「洋食」の2種類あるほか、ヴィーガンサラダやアメリカンブレックファストの選択も可能です。
飲み物は様々な種類が用意されていて、選ぶ際に迷います。
案内されたのは窓際のテーブル席です。食前にフレッシュオレンジジュースを注文して、配膳を待ちます。
和食は提供に時間が掛かるとの事でしたので、今回は洋食を選択しました。
生ハムのマリネ、牛肉のハッシュドビーフや魚のちょっと変わったソテーなどがある一方で、冷ややっこや出汁巻き卵といった和食に分類されるような小鉢も並びます。8品の小鉢の他、ポタージュスープが付きます。
出汁巻き卵には兵庫県の厳選された卵を使用しており、非常に黄身の風味が濃厚でした。
パンはクロワッサンです。ホテルで焼き上げたばかりのクロワッサンはサクサク&ホクホクとした食感です。パリっとした外側の生地がたまりません。
食後はカフェラテで締めました。豆は農園指定のスペシャリティコーヒーで、香り深い一杯でした。
ゼンティス大阪のまとめ
ホテルおよび客室は装飾美に留まらず、機能美も備えた瀟洒な佇まいでした。
オリジナルの家具を取り揃え、揺るがぬ統一感を生み出している点からは、パレスホテルの「ゼンティス」ブランドにかける情熱がしっかりと伝わってきました。
他方、その強い思いのあまりか、機能として配慮が足りていない部分(シャワーブースの件)があったことはとても残念でした。また、部屋に色々な工夫(ロールスクリーンの件)がされていますが、それを知る手立てが無い、あるいは気付け無いことにも何かしらの対応が必要だと考えます。
このように気になる箇所はあります。しかし、大都市のど真ん中にあることを考慮して、少なくはあれど緑に囲まれ静かさを享受出来るこの環境は特筆すべき点です。雰囲気や居心地の良さが優れている当ホテルは、選択肢の中に入れたい場所の1つです。
- 統一感のある、洗練された設備や客室
- 宿泊者だけが使えるラウンジあり
- リラックスできる落ち着いた環境
- シャワーブースの設計に難あり
- 一部、設備に関する情報が得られ辛い
- 物価高による宿泊費の高騰
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