「井倉洞(いくらどう)」は岡山県新見市にある鍾乳洞です。岡山の景勝地として古くから親しまれており、ここでしか見られない自然の造形を楽しめます。
この度、やっと訪れることが出来ましたので、探訪記としてレポートします。お得な割引情報もお伝えしますので、是非訪れてみてください。
井倉洞の概要
井倉洞は昭和32年(1957年)ごろに発見され、翌33年の探検隊の調査により内部が探索が行われた結果、観光洞としての開発が決定されました。そして昭和34年に井倉洞として開業しました。その後も開発は続き、昭和37年(1962年)に現在のルートが作られました。
全長は1200mあり、階段やトンネルの多い高低差のある鍾乳洞です。
しかし、上部には未開拓の鍾乳洞が続いています。現在の洞窟の最上部は「音の滝」で、その上には暗闇が広がっています。ちょっとワクワクしますね。
住所 | 〒719-2551 岡山県新見市井倉409 |
電話 | (0867)75-2224 |
営業時間 | 8時30分~17時00分(最終受付は16時30分まで、年中無休) |
公式サイト | https://www.ikurado.jp/ |
井倉洞の場所
井倉洞は岡山県の新見市にあります。
電車では、JRの伯備線「井倉駅」が最寄り駅で、岡山駅から約1時間30分ほどかかります。駅から井倉洞までは徒歩15分ほどで辿り着けます。
車の場合、中国道新見インターチェンジから南へ約20分、岡山道賀陽インターチェンジから北へ約40分のところにあります。
駐車場は井倉洞の受付の北と南にあります。現在は無料で開放されています。
入場料金
入洞券の料金は下記のとおりです。
種別 | 大人 | 高校生 | 中学生 | 小人 |
---|---|---|---|---|
個人 | 1,000円 | 1,000円 | 800円 | 500円 |
「障碍者手帳」をお持ちの方は、ご本人のみが割引されます。上記の個人料金の半額が割り引かれます。
割引制度やクーポン
現在、配布されている割引クーポンは「岡山観光WEB」でのみ期間限定で配布されています。クーポンによる割引額は100円です。
JR西日本の観光情報サイト「tabiwa」では、通常料金よりも割引されたデジタルチケットを販売しています。事前に会員登録が必要です。
なお、イオンカードによる割引は実施されていません。
入洞券の買い方
入洞券は原則、受付付近の自動券売機で購入します。現金のみが利用可能です。
障碍者手帳による割引や岡山観光WEBのクーポンを使う場合は、受付で購入しましょう。クーポン画面を印刷したもの、もしくはスマホ画面、または手帳を受付に提示してから購入します。こちらも現金しか使えません。
井倉洞の服装
洞内は1年を通して摂氏15度前後の温度を保っています。冬の昼間のような気温です。ただし、湿度が高いので、途中で蒸し暑くなる可能性が高いです。体温調節が可能な服装で挑んでください。
私は上は「フリースジャケット」とインナーに「タートルネックカットソー」、下はジーンズで挑みました。途中までは問題無かったところ、体を動かすことが増える洞内後半になるとあまりの暑さにフリースジャケットを脱ぐ結果となりました。
見渡すとダウンジャケットを途中で脱ぐ人がいました。
また、路面が濡れているので滑りにくい靴にしてください。例えば溝の多いゴム底の靴が適しています。アディダスのスタンスミスを履いていきましたが、注意深く歩いたこともあって殆ど滑りませんでした。
井倉洞の見どころ
井倉の滝
洞窟の入口付近には立派な滝があります。鍾乳洞内の水を排水するための人工滝で、雨量によって水量が変わります。訪問前の1週間は雨の日が無かったようで、滝の水は非常に少なく残念な姿でした。
井倉洞から南に位置する場所には「絹掛の滝」があるのですが、そちらも雨量が少ない時期は水自体が流れません。実際に流れていませんでした。
井倉峡
洞窟のあるこの一帯は高梁川が流れる「井倉峡」です。初夏には新緑が目に眩しく、秋には紅葉の名所として有名です。
カルスト台地の谷間に沿って線路や道路があり、電車やドライブで風景を楽しめます。
2022年の11月下旬には既に紅葉が終わっていました。見ごろは中旬だったようです。
昭和の名残のある商店
昭和の頃はとても賑わっていたと聞いています。修学旅行や遠足の目的地の1つとしても人気があったそうです。看板からは昭和の雰囲気が伝わってきます。
「展望」は出来なさそうでしたが、日曜日だったので食堂は営業していました。
別の飲食店や土産物店もちゃんと営業していました。写真左側の建物は3階建てで、おそらく2階、3階も食堂として使われていたのでしょうか。当時の賑わいが偲ばれます。
一部店舗ではQRコード決済のPaypayを取り扱っていました。
井倉洞の様子
受付を過ぎて、「阿里佐橋」を渡って入り口に向かいます。この橋は三代目にあたり、橋をかける以前は船で渡っていたそうです。
入り口は向かって右の階段を下ります。段差が多いので気を付けてください。
入り口付近に案内図や注意書きがありますので、一読してから入りましょう。
案内図は平面で伝わってこないのですが、洞内は天井や道幅が狭い場所やアップダウンが多く、しゃがんで進んだり体を曲げて歩いたりと、思いの外体力を消耗します。
洞内は水が沁み出ています。雨が殆ど降っていない乾燥していた時期ですら、上の写真のように通路は水に濡れています。また、写真では明るく見えますが、補正が掛かっているためです。実際はもう少し暗いです。
乾いている地面は少ないので、滑りにくい靴を準備しましょう。
狭い中に池を渡る橋、その頭上には出っ張りと、気を抜くと頭を打ってしまいます。上に下にと注意を払って行きましょう。
しばらくすると、縦穴の「黄金殿堂」と呼ばれる場所に着きます。
この大きな縦穴には階段があり、更に上に進みます。また、階段を登り切った先には落差50m以上ある「地軸の滝」が眺められます。
この先の鍾乳洞へは人口のトンネルを進みます。先ほどの階段といいこのトンネルといい、先人の努力の賜物ですね、すごい。スピーカーからはアナウンスや音楽が流れ、一人で歩いても寂しくはありません。
トンネルをくぐると、本洞と近道の分岐があります。ここからは更に昇り、道も狭くなるために体力に自信の無い方は出口への近道を選びましょう。
写真では伝わりづらいですが、ここからは「地軸の滝」の上部が見られます。高低差は他の洞窟内では見られない程の規模です。先ほどの「黄金殿堂」付近へと水が流れ落ちています。
この辺りから目に見えて順路に流れ出す水量が増加します。階段にも石灰の混じった水が流れ、小さなリムストーン(棚田の畝のようなもの)が形成されていました。人工物が自然と一体化する様が見学できます。
水量が増えるということは洞内の湿度も急激に上がるということです。温度は摂氏15度程度ですが、高い湿度と、傾斜を体を曲げながら歩くことによる運動量の増加で汗をかきます。この辺りから暑さのあまり着ていたフリースジャケットを脱ぎました。それほどの多湿空間です。
途中から長袖のシャツ1枚で行動しました。それほど蒸し暑かったです(個人差があります)。
通り道には石灰質が積み重なって出来た石筍があり進行を阻みます。引っかけてこけないように注意して歩きましょう。
川や深い穴の側を歩くことも増えるので、持ち物には細心の注意を払ってください。特に写真を撮ろうとしてスマートフォンを落とす人が多いようです。人が入れない場所が多々あって、落としてしまったら回収は出来ません。
蒸し暑くてマスクを外し落とす人も多いそうなのでお気を付けてください。
道幅が狭くなり、体をくの字にして通過しないと通り辛い箇所が多数あります。
上下左右に見どころは満載です。狭い道を抜けると今度は天井の高い空間が現れます。飽きがこない自然のアトラクションです。
最後の見どころである「音の滝」へ通ずる道は、体をマッチ棒のようにして進みます。リュックサックを背負っていると邪魔になるかもしれません。この先は実際に訪れて、滝の迫力を体感してください。
井倉洞のまとめ
前からずっと気になっていた井倉洞は、間近に自然の結晶を眺め、体を曲げ下げしながら楽しむ、いわば「体感する鍾乳洞」でした。途方もなく広い秋吉台の鍾乳洞とは真逆です。出口にたどり着いた頃には謎の充実感が味わえるかもしれません(これも個人差があります)。
途中でお伝えしましたが、湿度も高いので体温調整ができる服装が良いと思いました。万全の態勢で楽しんでください。
鍾乳洞の周辺は昭和の名残がいくつかあり、どことなく懐かしさと寂しさに触れられます。「観光地に来たぞ」と実感できます。
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